神奈川県横浜市で事業を営む中小企業・個人事業主のみなさんへ。国の補助金は金額が大きい半面、申請に時間と労力がかかる。横浜市が独自に設けている助成金は金額こそ小さいが、申請期間が年複数回に分かれているうえ、地元事業者が審査の土俵に立ちやすい仕組みになっている。2026年9月2日時点で公式ページから確認できた制度を軸に、今すぐ動けるものと次年度に備えるべきものを、一本で整理する。
国の制度と横浜市独自の制度、何が違うのか
まず「国の補助金」と「横浜市の補助金」を混同しないことが第一歩だ。
国の小規模事業者持続化補助金は補助上限が基本50万円で、商工会議所経由の申請が必要。ものづくり補助金は最大1,500万円を狙えるが、事業計画書に求められる水準が高く、採択率は通年で40〜60%台だ。IT導入補助金は対象ツールがIT導省の登録ベンダー限定になっている。これらは制度設計が全国一律で、横浜市内の事業者でも他府県の事業者でも審査基準は同じ。
一方、横浜市独自の助成金は対象が「市内事業者限定」であることに加え、展示会への出展・省エネ設備の導入・製品の研究開発といった特定の用途に特化している。金額は上限30万〜300万円と国に比べて小さいが、その分、申請書類も比較的シンプルで、締切が年2回設けられているものもある。
もうひとつの大きな違いは「事前相談」の位置づけだ。横浜市の助成金の多くは、事前相談が必須要件になっている。事前相談なしで提出した書類は受け付けてもらえない制度もあるため、公式ページを見た瞬間に申請書を書き始めてはいけない。まず担当課に電話を入れることが第一動作になる。
【2026年9月時点・申請受付中】今すぐ動ける制度
① 展示会出展費用助成金(第1期・第2期)
2026年9月2日時点で第1期の申請(〜9月30日)がまだ間に合う。横浜市内中小企業者が国内外の展示会に出展する際の費用を助成する制度で、令和8年度は米国の関税措置や日産自動車の生産体制縮小により影響を受ける事業者も対象に加わった。
- 助成上限:30万円(2026年9月2日時点)
- 助成率:1/2(横浜グランドスラム認定企業は2/3)
- 対象経費:出展料、施工費・装飾費、設備リース料、電気使用料、運搬費
- 主な要件:横浜市内で12か月以上継続して営業していること、市税の滞納がないこと
- 第1期申請期間:〜2026年9月30日
- 第2期申請期間:2026年10月1日〜2027年3月26日
個人事業主は中小企業基本法上の定義を満たせば対象になりうるが、詳細は担当課に直接確認してほしい。展示会出展費用は領収書と出展証明を後日提出する精算払い方式のため、支出を先に立て替える必要がある点は留意しておきたい。
② 省エネルギー化支援助成金(第2回・事前申込受付中)
省エネ設備の導入経費を助成する制度で、「簡易申請コース」と「省エネ診断受診コース」の2種類がある。2026年度第2回の事前申込締切は10月30日だ。個人事業主も、市・県民税の納税義務者であれば対象となりうる。
- 簡易申請コース:助成上限100万円・助成率1/2(2026年9月2日時点)
- 省エネ診断受診コース:助成上限300万円・助成率1/2(2026年9月2日時点)
- 主な要件:横浜市内事業所で12か月以上営業、市税の滞納なし、「脱炭素取組宣言」を事前申込までに実施していること
- 第2回事前申込締切:2026年10月30日
「脱炭素取組宣言」は横浜市独自の登録制度で、宣言自体は無料かつオンラインで手続きできる。これを済ませていない事業者は今すぐ登録しておくことが先決だ。申請の際に宣言日が書類で確認されるため、直前の滑り込みでは間に合わないケースが出てくる。
③ ものづくり魅力向上助成金(製造業連携向け・事前相談受付中)
横浜市内に1年以上事業所を置く中小製造業者が3者以上で連携して取り組む、ものづくりの魅力発信・人材育成・地域課題解決を対象とした助成金。事前相談の締切は2027年1月15日で、まだ余裕がある。
- 令和8年度予算:1,000万円(2026年9月2日時点)
- 要件:横浜市工業会連合会の会員工業会に所属していること、3者以上の連携事業、脱炭素取組宣言済みであること
- 事前相談締切:2027年1月15日
この制度は製造業の「連携事業」向けで、単独の個人事業主や小規模店舗が一者で申請できるものではない。製造業に従事しており地域の工業会に加盟しているなら、来年度に向けた連携パートナー探しを今から始めておくと現実的だ。
申請の順番──どれを先に取るべきか
横浜市の助成金と国の補助金は、同一の経費への重複適用が原則禁止だ。ただし、別々の経費に適用するなら併用できる。たとえば、展示会出展料に横浜市の展示会助成金を使い、設備投資には国のものづくり補助金を充てるといった分け方は問題ない。
2026年9月時点での優先順位はこうなる。
- まず動く:展示会出展費用助成金 第1期——申請期限が9月30日。今月中に横浜市経済局ものづくり支援課(TEL:045-671-2567)に電話して事情を確認するのが最優先だ。第2期も10月から受け付けが始まるので、展示会出展の予定があるなら合わせて確認しておきたい。
- 10月末を目標:省エネルギー化支援助成金 第2回——事前申込締切が10月30日。脱炭素取組宣言が未実施なら今週中に手続きを済ませること。設備の仕様選定にも時間がかかるため、早めに担当課に相談するのが得策だ。
- 来年1月まで検討:ものづくり魅力向上助成金——製造業の3社連携が前提のため、参加する工業会や連携事業者との調整が先に必要。採択されても少人数での分配になるため、事業の方向性と予算規模を連携先とすり合わせておくこと。
国の大型補助金(ものづくり補助金・事業再構築補助金等)は公募時期が別で、横浜市独自の制度とスケジュールが重なることは少ない。まず市独自の小型制度で「申請・採択の経験値」を積み、そのうえで国の大型制度に挑む流れが実務的にはスムーズだ。
よくある不採択・申請できない理由
- 事前相談を受けていない——横浜市の助成金の多くは、事前相談なしでの申請を受け付けない。公式ページを確認した後は、まず担当課に連絡することが必須の第一歩だ。
- 脱炭素取組宣言が未実施——省エネルギー化支援助成金など複数の制度で、事前申込時点での宣言完了が求められる。申請当日に慌てて宣言しても間に合わないケースがある。
- 市税の滞納——全制度共通の要件。法人市民税・固定資産税・個人事業主の市・県民税など、滞納があると申請できない。
- 営業期間の不足——多くの制度で「12か月以上継続営業」が要件になっている。創業から1年未満の事業者は対象外になることが多い。国の小規模事業者持続化補助金(創業型)を先に活用するのも選択肢だ。
- 対象外経費の計上——汎用事務消耗品・飲食費・一般管理費など、認められない経費が申請書に含まれていると減額または不採択になる。募集案内に記載された「対象経費一覧」を精読することが前提だ。
【今年度は終了】次年度の参考になる制度
中小企業新技術・新製品開発促進助成金
令和8年度の本申請締切は2026年6月4日で、今年度の公募は終了している。新技術・新製品の研究開発にかかる原材料費・機械装置費・直接人件費などが対象で、助成率は1/2または2/3。対象は市内中小企業者で「市内で1年以上事業継続」という要件がある。横浜市の中期計画が掲げる「たべる・くらす・みえる」のサーキュラー経済に貢献する研究開発は審査で5%加点される仕組みも特徴的だ。令和9年度の公募は例年4〜5月に事前相談、6月に本申請のスケジュールが想定される。研究開発に着手する事業者は、4月の公募開始を待たずに経済局へ事前問い合わせを入れておくと話が早い。
販路開拓支援事業
令和8年度の事前相談締切は2026年5月22日で、今年度の公募は終了。優れた商品を自社生産する事業者を「認定」し、行政現場での試用機会の提供や販売促進費の助成など複数の支援メニューを提供する事業だ。商品力に自信はあるが販路が広がらないと感じている製造業者にとって、来年度の有力な候補になる。令和9年度も同様のスケジュールが見込まれるため、秋口から担当課への事前接触を始めておくのが現実的な準備だ。
問い合わせ先
| 制度名 | 担当部署 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 展示会出展費用助成金 | 横浜市経済局 ものづくり支援課 | TEL:045-671-2567 |
| 省エネルギー化支援助成金 | 横浜市経済局 ものづくり支援課 | TEL:045-671-2567 |
| ものづくり魅力向上助成金 | 横浜市経済局 ものづくり支援課 | TEL:045-671-3490 / ke-mono@city.yokohama.lg.jp |
| 中小企業新技術・新製品開発促進助成金 | 横浜市経済局 ものづくり支援課(新技術開発担当) | TEL:045-671-2567 / ke-sbir@city.yokohama.lg.jp |
| 各種補助金全般の情報収集 | 横浜市経済局 中小企業振興課 | TEL:045-671-4236 |
横浜市の中小企業支援情報は「スタートアップポートヨコハマ」(socialport-y.city.yokohama.lg.jp)でも随時更新されており、公募情報の一次確認に使える。ただし、申請書類と要件の最終確認は必ず横浜市の公式ページか担当課で行うこと。
FAQ
横浜市の助成金と国の持続化補助金を同時に申請できますか?
同一経費への重複適用は原則禁止ですが、対象経費を分ければ併用は可能です。たとえば、展示会出展料に横浜市の展示会助成金を使い、チラシ制作費には国の持続化補助金を充てるといった方法が考えられます。申請前に各担当窓口で「どの経費をどの制度で申請するか」を確認しておくことが重要です。
個人事業主でも横浜市の助成金は使えますか?
制度によります。展示会出展費用助成金や省エネルギー化支援助成金は、中小企業基本法上の定義を満たせば個人事業主も対象になる可能性があります。ものづくり魅力向上助成金は工業会会員の製造業3社以上の連携が必要なため、単独の個人事業主には難しい制度です。対象要件は年度ごとに変わることもあるため、必ず担当課に直接確認してください。
「脱炭素取組宣言」はどこでできますか?
横浜市の脱炭素取組宣言はオンラインで申請できます。宣言に費用はかかりません。省エネルギー化支援助成金の申請を検討している方は、事前申込前までに宣言を完了させておく必要があります。詳細は横浜市経済局ものづくり支援課(045-671-2567)にお問い合わせください。
事前相談は必ずしなければいけませんか?
横浜市の多くの助成金では、事前相談が申請の前提条件になっています。事前相談を経ていない申請は受け付けてもらえない場合があります。公式ページを見た段階ですぐ書類を作り始めるのではなく、まず担当課へ電話することを最初のアクションにしてください。
申請から入金までどのくらいかかりますか?
横浜市の助成金は一般的に「精算払い」方式のため、先に費用を自己負担し、事業終了後に実績報告書と証拠書類(領収書・写真等)を提出して、審査後に助成金が振り込まれます。採択から入金まで数か月かかるケースも多く、資金繰りの余裕を持ったうえで申請を検討してください。
参考文献
- 中小企業支援 - 横浜市(2026-09-02 確認)
- 展示会出展費用助成金 - 横浜市(2026-09-02 確認)
- 展示会出展費用助成金の募集を開始します(令和8年度)- 横浜市(2026-09-02 確認)
- 省エネルギー化支援助成金(簡易申請コース)- 横浜市(2026-09-02 確認)
- 省エネルギー化支援助成金(省エネ診断受診コース)- 横浜市(2026-09-02 確認)
- ものづくり魅力向上助成金 - 横浜市(2026-09-02 確認)
- 中小企業新技術・新製品開発促進助成金 - 横浜市(2026-09-02 確認)
- 販路開拓支援事業 - 横浜市(2026-09-02 確認)






