山形県内で事業を営む中小企業・個人事業主のみなさんへ。国の補助金(ものづくり補助金・IT導入補助金・持続化補助金など)は広く知られていますが、山形県が独自に設けている補助金制度を見落としているケースは少なくありません。本記事では、2026年9月17日時点で受付中の県独自制度を中心に、国の制度との違い・申請の優先順位・よくある不採択の理由をまとめました。
国の制度との違い:山形県独自の補助金はどこが違うのか
国の補助金(経済産業省系)は全国共通の枠組みで動いているため、採択競争率が高く、申請書類も複雑です。これに対し山形県独自の補助金には3つの特徴があります。
- 採択ハードルが低い傾向にある:対象が県内事業者のみなので競争相手が少ない。特に小規模事業者枠は補助率が国の制度より有利なケースもあります
- テーマが地域密着:山形の産業構造(農業・観光・製造業)に合った枠設計がされています。たとえば展示会出展補助は国外展示会もカバーしており、山形産品の海外販路開拓を後押ししています
- 国と「申請順序」が重要:同一の設備・取組みへの重複申請は禁止ですが、取組みのフェーズが異なれば国と県の補助金を別々に申請できる場合があります。申請順序を誤ると「一方しか使えない」状況になりかねません
国の小規模事業者持続化補助金(上限50〜250万円)と山形県の収益力向上支援事業(上限300万円)を比べると、予算規模は似ていますが申請要件が異なります。国は「経営計画書の策定」が必須ですが、山形県版は「パートナーシップ構築宣言の公表」と「経営革新計画等の策定」が要件です。まず県の中小企業トータルサポート窓口に相談し、自社の状況に合った申請ルートを確認するのが近道です。
今申請できる制度(2026年9月17日時点・受付中)
① 山形県中小企業まるっとサポート補助金 — 販路開拓支援事業(展示会等出展支援型)
山形県内に事業所を持つ中小企業・小規模事業者が、国内外の展示会・商談会に出展する際の費用を補助してもらえる制度です。2026年度は2027年1月29日まで先着順で受け付けており、現時点で最も長く申請できる制度です。
- 補助率:1/2以内
- 補助上限額:国内 5万〜30万円 / 国外 5万〜50万円
- 申請期間:2026年4月1日〜2027年1月29日(先着順・予算上限あり)(2026-09-17 時点)
- 問い合わせ:山形県産業労働部商業振興・経営支援課(電話: 023-630-2354)
先着順のため、展示会出展が決まったら早めに申請することが重要です。予算が尽き次第締め切られます。
② 山形県事業承継促進事業費補助金
後継者問題を抱える事業者と、他社事業を引き継いで県内で経営を継続したい事業者の両方が対象です。ただし対象は第三者承継(M&A)に限ります(親族内承継は対象外)。
- 対象者:①売り手(県内に事業所を持つ中小企業者)②買い手(承継後に県内で事業を営む中小企業者)
- 補助率:1/2以内
- 補助上限額:10万〜50万円
- 申請期間:2026年6月15日〜2026年12月15日(予算上限到達の場合は早期終了)(2026-09-17 時点)
- 問い合わせ:山形県産業労働部商業振興・経営支援課経営・創業支援係(電話: 023-630-2290)
③ 山形県100億宣言企業応援事業費補助金(第2次公募)
将来の売上高100億円を目指す成長意欲の高い中小企業者を支援する制度です。2026年8月31日に第2次公募が始まりました。補助率・上限額・締切の詳細は公式ページのPDF資料に記載されています。
- 対象:将来の売上高100億円を目指す県内中小企業者
- 問い合わせ:山形県産業労働部産業技術イノベーション課(電話: 023-630-2553)
申請の順番:どれを先に取ると他が取れなくなるか
複数の補助金を申請する場合、申請する順番と併用可否の確認が非常に重要です。
- 先着順・予算限定の県制度を優先する
国の補助金(ものづくり補助金・持続化補助金など)は採択結果が出るまでに2〜4ヶ月かかります。その間に山形県の先着順制度(販路開拓支援事業など)の予算が尽きるリスクがあります。スケジュールが重ならない限り、県の先着順制度を先に動かすのが基本方針です。 - 同一事業・同一設備への重複申請は禁止
国の持続化補助金と山形県の収益力向上支援事業は、同一の設備投資・取組みに対して重複して申請できません。ただし取組み内容が別の事業であれば(例:販路開拓に国の制度を使い、設備投資に県の制度を使う)、別々に申請できる場合があります。必ず各制度の公募要領を確認してください。 - 「計画認定」が必要な制度は最低でも2〜3ヶ月前に着手する
収益力向上支援事業の通常枠は「経営革新計画」等の認定が要件です。計画認定には1〜2ヶ月かかるため、補助金申請より先に計画策定・認定申請を進めておく必要があります。来年度の公募に備えて、今から計画策定を始めても遅くはありません。
よくある不採択の理由
山形県の補助金審査で不採択になるケースに共通しているポイントを整理しました。
- 事業計画の数値根拠が薄い:「売上○%アップを目指す」という目標だけでは不十分。なぜその数値になるか(市場調査データ・過去の実績・競合分析など)の根拠が必要です
- 補助金交付要件を見落としている:収益力向上支援事業では「パートナーシップ構築宣言の公表」が要件です。申請前に必ず公募要領を通読してください
- 経費の積算が曖昧:補助対象経費と対象外経費の区分が不明確だと、審査で減点・不採択になりやすいです
- 申請書類の不備・添付漏れ:事前に山形県中小企業トータルサポートの窓口でチェックを受けることを強くお勧めします。無料で相談に応じてもらえます
過去の制度(2026年9月17日時点で募集終了・次年度の参考)
以下は現在受付が終了した制度です。次年度の見通しを立てる参考にしてください。
収益力向上支援事業(通常枠・小規模事業者枠)第2次公募
受付期間:2026年8月3日〜9月4日(終了)。設備投資を伴う収益改善に補助率1/2〜2/3、上限最大300万円。毎年1次・2次と2回の公募がある制度で、2027年度も同様の募集が行われる可能性が高いです。設備投資を検討している事業者は、今から計画策定・パートナーシップ構築宣言の公表を進めておきましょう。
事業継続力強化支援事業(第2次募集)
受付期間:2026年7月1日〜8月31日(終了)。BCP(事業継続計画)に基づく防災設備導入への補助(補助率2/3、上限50万円)。BCP未策定の事業者は来年度に向けて今から策定しておくことで、翌年度の申請に備えられます。
問い合わせ先(部署名と公式ページ)
- 山形県産業労働部商業振興・経営支援課(補助金全般・創業・事業承継)
〒990-8570 山形市松波二丁目8番1号
電話: 023-630-2393
公式: 中小企業振興 | 山形県 - 山形県中小企業総合相談窓口(中小企業トータルサポート)(申請書類の事前チェック・相談)
〒990-8580 山形市城南町1-1-1 霞城セントラル13階
電話: 023-616-5117
公式: 山形県中小企業総合相談窓口(中小企業トータルサポート)
FAQ
個人事業主も山形県の補助金を申請できますか?
はい。「販路開拓支援事業(展示会等出展支援型)」や「事業承継促進事業費補助金」など、多くの制度で小規模事業者として個人事業主も対象になっています。ただし制度ごとに要件が異なるため、公式ページの対象者要件を必ず確認してください。
国のものづくり補助金と山形県の収益力向上支援事業は併用できますか?
同一の設備・取組みへの重複申請はできません。取組み内容が別の事業であれば別々に申請できる場合がありますが、詳細は商業振興・経営支援課(023-630-2393)にご確認ください。
申請に経営計画書は必ず必要ですか?
制度によって異なります。収益力向上支援事業(通常枠)では「経営革新計画」等の認定が必要ですが、販路開拓支援事業や事業承継補助金では別の要件が設定されています。各制度の公募要領をご確認ください。
補助金は採択されたらすぐに受け取れますか?
いいえ。補助金は「後払い(精算払い)」が基本です。まず自己負担で事業を実施し、完了後に実績報告を提出してから補助金が交付されます。資金繰り計画に注意してください。
申請書類の準備にどのくらいかかりますか?
制度や事業規模によりますが、1〜3週間は見ておくのが無難です。計画認定が必要な制度は2〜3ヶ月前から動き始めることをお勧めします。山形県中小企業トータルサポートでは無料で事前相談を受け付けています。
参考文献
- 山形県中小企業まるっとサポート補助金(山形県公式サイト)(2026-09-17 確認)
- 山形県事業承継促進事業費補助金(山形県公式サイト)(2026-09-17 確認)
- 山形県100億宣言企業応援事業費補助金 第2次公募(山形県公式サイト)(2026-09-17 確認)
- 令和8年度 産業振興支援施策一覧(山形県公式サイト)(2026-09-17 確認)
- 山形県中小企業総合相談窓口(中小企業トータルサポート)について(山形県公式サイト)(2026-09-17 確認)






